2021-06-15

総長選考改革試案・その3

大阪大学は、開かれた大学をめざしている(らしい)。「5つのオープン」という方針が打ち出されていて、そのうちのひとつは「オープンガバナンス」だそうだ。しかし、今回の総長選考を見ていると、とてもそうは言えない。その事情は何度も書いたので、今回は、6月12日付けの、大阪大学総長選考をめぐる産経新聞の記事から引用させてもらう。

一連の手続きで外部に公開されているのは、候補者の氏名のほか、意向調査や選考会議の投票結果などごく一部。各候補の主張をまとめた所信表明書を閲覧できるのは教職員のみで、学生にも情報は開示されない。次期総長を最終決定する選考会議での投票についても、「各委員が評価項目ごとの点数を定めて投票を行った」(鈴木氏=選考会議委員長)としているが、具体的な採点方法などは明かされていない。

意向投票が一位だった澤候補の代表推薦人+1名から、選考会議に説明を求める質問書が出された。それに対する回答が「『総長予定者の決定について』の補足説明について」という一斉メールで送られてきた。選考会議の鈴木直議長名の「大阪大学の全構成員の皆さんへ」と題された文書が添付されている。全構成員へ、となっているので、学生にも送られているのだとは思うが、そこはよくわからない。全文公開したいところだが、ぐちゃぐちゃ言われたらイヤなので、内容をかいつまんで。

先の記事引用にある評価項目(評価指標)は15項目もあるそうで、その評価点の合計数が最も高い者に投票して決定されたらしい。が、その評価項目は明らかにされていない。開かれた大学ならば、それくらいはオープンにしてもよかろうが。そして、以下のような点を含め、様々な議論を行ったとある。

学内意向調査結果(各候補の得票数)について、その意味すること
所信表明書等で提示されたビジョンや施策内容と、その実現性(財源確保の可能性等)
大学経営に関する識見・実行力・指導力

この書きぶりから、あぁやっぱりこの点が問題にされたのかという気はする。しかし、外部の人から見れば、所信表明等の内容がまったくオープンにされていないのだから、わかりようがない。「学内意向調査結果(各候補の得票数)について、その意味すること」は、抽象的過ぎはしないか。数の意味など考えられるものだろうか。三つ目の「大学経営に関する識見・実行力・指導力」という点については、現役総長が有利であることは間違いなかろう。この点にどの程度の重きが置かれたかは気になるところだ。

まぁ、ひとことで言えば、選考会議の委員と一位候補に投票した三百数十名の判断が異なっていた、ということにつきる。というより、それ以上のことが書かれていない。もう少し踏み込んだ説明が必要だろう。

先の産経新聞の記事によると、「取材に対し、阪大は『議論の公開は委員への負担が大きすぎる』との認識を示す」とある。これもおかしなことだ。匿名で公開すればいいことではないか。はたしてそれが「大きすぎる負担」になるというのか。そして、これはいったい誰が示した認識なのか?まさか選考会議の認識ではなかろう。2万人を越える組織の将来を決める総長選考会議である。委員の方たちは、その程度の負担は覚悟されているに違いない。もしそうでないなら、とんでもないことだ。もちろん、こんなことになるのなら引き受けるのではなかったと後悔中の委員がおられるかもしれない。同情の余地はあるが、もしおられたら、イマジネーションが不足していたとしか言いようがない。

言ってはなんだが、今回のような状況は、すでに他大学でもあって、それなりにもめ事になってきたのだから、十分に予測されたこと、想定の範囲内である。残念ながら、選考会議はそういったことに対するイマジネーションがなさすぎたのではないか。だから、後手後手に回ってしまっている。

今回の「騒動」を見たら、選考会議の委員を引き受けようという人がいなくなるかもしれない。そうなったら大変なことだ。しぶしぶ引き受けた委員に大学の将来を決められたりしたらたまったものではない。あるいは、選考のやり方を根本的に変更しようという動きが出るかもしれない。おそらくそれが正しいのではないか。

どうすれば良さそうか。いろいろと考えたことは次回以降のお楽しみということで。

写真:キューブハウス@ロッテルダム

 

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