2021-05-16

教育の復権・下ーアイデア募集中!ー

どうして日本の大学においてリベラルアーツ教育が軽んじられているのか、以前から不思議に思っていた。このことについて、昨日も紹介した、東京大学の吉見俊哉教授による『大学は何処へ』(岩波新書)で詳しく紹介されていた。日本の国立大学の成り立ちや占領軍の政策がおおきいらしい。どうして理系の大学である東京工業大学がリベラルアーツに力をいれているのかもよくわかった。

もし今、高校生に戻れたら、どういう進路を選びますか?医学部で教えている病理学総論での講義アンケートでの定番質問だ。答えは決まっている。高校を出た時点で一生を決めるほどの考えを持っているとは思えない。国内外を問わず、まずはリベラルアーツを学べるような大学にはいって学ぶ。そして、興味あることをいろいろ勉強してから専門を決めて大学に入り直す。今や人生100年時代、それくらいの回り道をしてもよかろう。ただ、医学部へ進むことはないと思うと付け加えている。(理由はちょっと長くなるので略)

わたしのように極端なコースをとりたい学生は少ないかもしれないが、せっかく総合大学に入学したのだから、そのメリットを活かして様々なことを学びたいと思う若者は多いのではないか。そんな学生のために、こんなアイデアはどうだろう。イメージとしては放送大学でに近い。

まずは「オンデマンド講義+試験あるいはレポート」によるコースを多数準備する。オンデマンド講義は、リアル講義の録画でもかまわない。そのコースで十分な成績をおさめれば単位を認定する。そして、ある学部で一定数以上の単位を修得した学生には、卒業時に副専攻修了の認定証をだす。実習や演習をどうするかが難しいが、それをクリアできればダブルディグリーを与えてもいい。こういったコースを準備できれば、社会人による聴講生もたくさん受講するに違いない。

オンデマンドとレポートだけでは血の通った教育にならないのではないかと思われるかもしれないが、適宜インタビューをとりいてたら解決できる。それどころか、そういったやり方を取り入れれば、一方通行になりがちないまのリアル講義よりもむしろ血が通っている。もちろん、違うキャンパスの学生で時間が取りにくければzoomインタビューでもかまわない。

哲学に詳しい物理学専攻、スワヒリ語に堪能な国際医療を目指す医学生、天文学に詳しい法学専攻、とか。考えただけでワクワクしてくるのは私だけだろうか。大学院の学生が学部レベルのコースをとって専門以外のコースを修得するのもありだ。博士号取得者がなかなか企業に採用してもらえないという問題があるけれど、たとえば、物理の博士だけれど経営学にも詳しいとなれば、就職にも有利になるだろう。

これくらいなら、通常の教育デューティーに少し上乗せになるくらいだから、教員の負担はそう増えない。それに、じなにより経費がかからない。それどころか、社会人の聴講で、多少なりとも収益につながりそうだ。同じようなシステムをつくる大学が出てくれば、単位の互換も可能である。

昨日も書いたゼミ『学問への扉』で、すこし驚きの学生コメントがあった。何人もが、「他の学部の人とディスカッションができて楽しかった」と書いていたのだ。せっかくの総合大学なのに、その魅力を活かしきれてないことは学生にまで及んでいるのか。もったいない。たとえば、水曜日の2限は空いてるから、他の学部の講義を聞きに行こう、とかを気軽にできたりしたら面白い。なんか、見知らぬ奴が来とるでと、あたらしい友だちができたりしたら最高だ。

天下の大阪大学である。みんなから、教員だけでなく学生たちからも、こうしたらいい、あるいは、こうしてほしい、というアイデアを募ったら、面白いものがいっぱい出てくるだろう。もちろん、面白いけれど、実現することが難しいものもありそうだ。しかし、こういうことを考えるだけで楽しい。そして、それが大学の将来につながっていく。

こんな面白いアイデアがあります、という人がおられたら、ぜひ質問箱を通じて教えてほしい。ひとりでも多くの人が、大学を面白くすることを考える。それだけで大学は活性化されえいく。『かわろう! 大阪大学』がきっかけになってユニークな教育システムができたりしたら、むちゃくちゃ嬉しいやないですか。

写真:ラダック・ブルー(ラダックはインド最北部の地域)

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