2021-05-09

ジェンダーギャップの解消・下:リアリティー

女性教員比率30%のクォータ制導入を主張すると票が減るのではないか、と言われたことを一昨日のコラムに書いた。これは十分にありえることだと思っている。これまでも、部局によっては強烈に抵抗するところがあったと耳にしているからだ。それでも主張した理由も一昨日のコラムに書いたとおり。

とはいえ、すべての部局で女性教員比率を30%というのは絶対に不可能だ。たとえば工学部では、機械、情報、土木など、女子学生の比率が非常に低いところがある。逆に医学部保健学科の看護のように非常に高いところもある。一律30%が不合理なのはいうまでもない。あくまあでも、大学全体で30%にする、という意味だ。。

なので、部局にどう割り振るかが問題になる。いろいろな指標があるかもしれないが、直接的で合理的なのは学生の男女比しかない。学部、大学院、あるいは、両方を勘案、ということになるが、そこは部局による違いがあるので要相談。

どう計算するかであるが、こういう時に重要なのは、なんといってもシンプルさである。とりあえずは、文句をつけにくい数字。まずは算数、比例計算で数字を出すことが肝要だと考えている。それを部局、あるいは、学科、専攻で出す。それから、必要であればミニマムな微調整をおこなう。

このようなやり方でも抵抗する部局があるだろうか。考えが甘いかもしれないが、わたしはないと信じている。教授の公募では、通常、大阪大学教授としての見識を有している人との文章が付けられている。大阪大学は女性比率30%を目標にしている。それだけではない。世の中すべてがジェンダーギャップを是正すべきだと考えている。そのような状況で、大阪大学にふさわしい見識を備えておられる教授が、こういったことに反対されるようなことなどありえるのだろうか。

所信表明にクォータ制の導入をはっきりと書いたのは、就任できたら導入する、というだけでなく、もうひとつの意図がある。阪なり会(はんなりかい、阪大女性研究者の会)では、総長候補に公開質問状を出すのが通例になっている。ジェンダーギャップ克服に向けてのクォータ制に言及している私の所信表明を見て、他の候補もクォータ制の導入を回答に入れざるをえないのではないかという期待だ。

わたしの目的は大学の改革である。ジェンダーギャップが解消されればとてもうれしい。誰が総長になっても、だ。虎は死して皮を残すがごとく、仲野は敗れたが候補者になったことには十分な意義があった。とか、後から言ってもらえたら素晴らしいではないか。って、ちょっとたいそうか…。さらに、女性教員比率があがれば、間違いなく他のダイバーシティーにも良い影響を与えるはずだ。

最後に思考実験をひとつ。202X年、女性教員比率の30%が達成された。時の総長、西澤徹(仮名、今回の候補者の名前から一字ずつ借用)は決断する。大学というところは、なんといっても教授が権力を握るシステムになっている。次は女性教授比率30%のクォータ制を導入する、と。

203X年、その目標が達成された。総長、仲尾樹(仮名、以下同文)は、目的を達成したのでクォータ制を完全になくすとの声明を出す。その後、女性教員比率と女性教授比率はどうなっていくか。

その結果が出た時、大学におけるジェンダーギャップ解消が持つ真の意義がわかる。

写真:豆腐岩@屋久島

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