2021-04-29

共に革命を戦う仲間

「共に革命を戦えるか」、思想家・内田樹先生が時々おっしゃる言葉だ。なかなか含蓄のある問いだ。さすがに信条が一致しなければ問題外である。では、他にどういう条件が必要だろう。まずはネガティブセレクション、不適格者をふるい落とす方が簡単かもしれない。

すぐに裏切りそうな人は問題外だ。それから、大きなところで判断ミスをしそうな人も。どちらも、ここぞという時に文字通りの命取りになりかねない。仲が良いとか、気が合う、というのはあらまほしいけれど、必ずしもそうでなくてもいいような気がする。それよりも、共感、利他、そして、いざという時の勇気だろうか。

革命に比べると、改革のハードルははかなり低そうである。それでも同志は必要だ。そのためにはどれくらいが必要か。民主主義的におこなうのだから、ふつうに考えたら全体の50%ちょい、ということになる。わたしもそう思っていた。ところが、とある先生-ある研究所の改革を成し遂げられた偉い先生-に、それは考えが甘いと教えられた。ずいぶんと昔の話だ。

「仲野君、君、朝起きた時の気分、日によってちがわんか?」
「基本、元気ですけど、たまには元気のない日もあります」
「そうやろ。守旧派は、元気のある日もない日も守旧派なんや」
「そうでしょうね」
「でもな、改革派はちがう」
「と、おっしゃいますと?」
「元気のない日は、今日はもう守旧派でええわ、となる」
「なるほど! 弱気な日には日和るんですね」
「だから歩留まりを7割として、改革派は最低でも70%が必要なんや」

深く感銘を受けたので、そのことがずっと頭にこびりついていた。

わたしは、どこぞの政治家と違って仮定のことを考えるのが大好きだ。さて、総長になって改革をおこなうとして、と真剣に考えた。残念ながら、大学全体において70%が改革派になることなど、絶対にありえない。どう考えても不可能だ。改革できないのなら、総長になってもしかたがない。それよりも、家の畑で農作業をしていたほうがずっとましだ。

そんな考えに落ち着きそうになっていた頃、大ベストセラーになった『人新世の資本論』の著者・斎藤幸平さんの講演が、内田樹先生の道場・凱風館であった。今のままでは世界がダメになってしまう。あり方を大きく変えなければならないという。おぉ、世界を大学に置き換えても同じではないか。しかし、そんなことできるのか。はたしてどれくらいの人が運動すれば可能なのか。この本によると、それは意外なほど少ない。

”ここに「3.5%」という数字がある。なんの数字かわかるだろうか。ハーヴァード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究によると「3.5%」の人が非暴力的な方法で本気で立ち上がると社会が大きく変わるというのである。”

ホンマですか。70%とちゃうんですか。そんなに少なくてできるんですか。

世界と大学はもちろん違う。それはわかっている。わかってはいるが、あてはめて考えてみた。大阪大学の教授は800名あまりだから、3.5%だとわずか30名程度だ。それならなんとかなる。斎藤さんの本を読んで、この説を知ることがなかったら、大学改革をめざした出馬は見合わせていたに違いない。「共に大学改革を戦う仲間」を募る日がくればいいのだけれど。

写真:青の洞門@イタリア

 

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