2021-04-16

グローバル化を考える

所信表明はお読みいただけましたでしょうか。もしまだなら、ぜひ読んでみてください。せいぜいA4で2ページ程度と思っていたのですが、5ページ、6千字を越えてしまいました。それでも書き足りないことは多く、この『大学改革について』でのコラムは、所信表明の延長のようなことを書いていくことになりそうです。

改革の手始めとして、女性教員比率の向上と、テニュアトラック制の整備などについて書きましたが、他にもたくさんあります。たとえば、大学が抱えるひとつの問題であるグローバル化の促進です。授業の英語化、外国人教員比率の向上、外国への留学などをいかに推進していくべきか。

授業の英語化は、制度として、やろうと思えば不可能ではないでしょう。しかし、教員負担の増大は避けようがありません。個人的な話になりますが、医学部での講義は60分を三コマ連続で受け持っています。相当に集中しておこないますので、日本語でもへとへとに疲れます。残念ながら、英語で満足な内容を3時間も話す自信はありません。

もうひとつ、学生が理解できるかどうかという問題があります。医学部の学生たち、すくなくとも入学試験の英語は相当に優秀な成績をおさめたはずです。3年生を受け持っているのですが、英語の教科書を読ませると、最初は1ページあたり30分かかる学生がざらにいます。その程度の英語力では、英語での講義はとうてい理解できません。

「英語によるカリキュラム」というのは、聞こえはいいけれども、実効をともなっておこなうには、相当にハードルが高いのです。少なくとも、現状では、やみくもに始めることなど不可能だと言わざるをいえないでしょう。学生の英語力を英語の講義を理解できるまで高めることができるか、また、その能力に応じた英語での授業ができるかなど、実行前に膨大な検討が必要です。

外国人教員を30%にという目標は、女性教員比率を30%にというのとはまったくレベルが違い、現状では実現不可能な数字です。大学で決められている細々とした制度があります。日本語ネイティブであっても読みこなすのが難しいような文言があったりするのに、理解してもらえるとは思えません。そんな職場を選ぶ優秀な外国人教員がはたしてどれだけおられるでしょう。これだけを考えても、ハードルの高すぎることがわかります。

だからあきらめよう、と言うのではありません。できそうもないのに「やる」と公言して「やっている感」をかもしだすのはやめにすべきではないかということです。それよりも、問題点をきちんと把握して、実現可能性をすこしでも上げる。「やる」のはその後。結局は、それが実現するための近道ではないかと考えています。

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